役員報酬設定のアドバイスについて

 

 顧問

決算報告時には次期役員報酬の設定について打ち合わせすることになります。

会社の状況により設定額も変わりますし、また、所得税、社会保険料への影響、代表者の生活安定においても慎重な設定が必要です。

適正な役員報酬を決めるにあたり、いくつか検討することがあります。

適正な役員報酬金額の決め方

役員報酬と法人利益のバランスを考える

役員報酬を高く設定しすぎて会社の利益が残らなければ意味がありません。

もちろん、役員報酬を高く設定はするが取り切れない金額は未払で残す、といったことも可能ですが、個人の節税や対銀行を考えても高すぎる役員報酬は良いものではありません。

法人でも利益を残すような役員報酬の設定が必要です。

来期の見込みについて検討することになりますが、基本は前期決算時の数字をベースに検討します。

そこから前期決算時の特殊項目を除き、来期単発で発生する売上・費用を加味します。

ざっくりですが来期の状況が見えてくるので、現状の役員報酬で法人の利益が残るのか・残らないのかがわかります。

綿密に短期経営計画を作成し計画を組んでも良いですし、計画策定のお手伝いもできます。

個人の生活から考える

社長としても最低限の生活費がかかりますので、個人の生活費を手取り額になるように役員報酬を逆算する方法もあります。

生活費の金額をベースに役員報酬を決めた上で法人の利益が残れば良いのですが、赤字の見込みになる場合は要注意です。

生活費をベースにすると役員報酬はこれ以上下げられないので、売上を増やす、経費を節減するといった改善が必要になります。

また、個人の生活費の見直しも必要になるかも知れません。

社会保険料・個人の税金が高くなりすぎないように設定する

当然ですが役員報酬を上げ下げすると、それに連動して社会保険料・個人の税金が増減します。

社会保険料の等級や個人の税金を加味して納得のいく額に決める方法です。

特に個人の税金は累進課税になっており、法人税の方が安いケースも多いです。

中小企業の場合、個人・法人トータルで考えると良いケースもあります。

役員報酬の改定全般について

役員報酬は法人の利益操作とみられやすいため、支給に一定の制限があります。

決算終了後3か月以内に改訂し、定期同額にて支給

大前提として、以下のルールを守らなければ、役員報酬を損金(経費)に計上することに制限が出てきます。

・決算終了後3か月以内に改訂し

・その後定期同額(毎月決められた時期に同じ金額)を支給する

なので、決算終了後3か月を超えての変更や、毎月支給額を変更するなどは行ってはいけません。

賞与は事前確定届出給与のみOK

役員に対する賞与は、大前提として損金(経費)には認められません。

ただ、事前確定届出給与のみ損金(経費)で計上して良いことになります。

事前確定届出給与については以下ご参照ください。

[手続名]事前確定届出給与に関する届出|国税庁 (nta.go.jp)

簡単に言うと、事前に賞与額と支給日を決定して税務署に届出すると認められるものです。

解説すると注意点が膨大にありますので、必ず要件等確認し間違いの無いように行ってください。

決算期(事業年度)変更を行う

役員報酬を改定するのは1年度に1回きりですが、決算期(事業年度)を変更することにより、改定時期を早めてしまおうということです。

ただし、租税回避行為にならないように、合理的な理由が必要です。

例えば、決算時期が繁忙期で閑散期に変更したい等の理由が最も多いかも知れません。

利益がかなり見込めそうだから決算期を区切り役員報酬を増額させたい、といった理由のみでは租税回避行為ととらえられるかも知れません。

また、決算期変更による弊害もあるため、慎重に検討しなければいけません。

まとめ

役員報酬の設定は、来期見込み、社長の生活費、社保や個人の税金面から納得のいく額にする必要があります。

専門的な知識も必要なため、やはり税理士事務所に相談しながら決めると良いと思います。

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 この記事の投稿者

吉田匡

1980年(昭和55年)生まれ、新陽税理士事務所、代表税理士。
2012年(平成24年)に開業、ホームページ・ブログを見てご依頼頂くことがほとんどです。
経営者・個人事業主・創業準備中の方向けに、税金や経営に関すること(たまにプライベートも)を発信しています。
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