法人成りシミュレーション(個人の方のみ)について

 

 顧問

弊所の顧問先には個人の方も多いですが、法人成りを検討する方もいます。

法人成りすることにより、税制の優遇がある反面、社保に加入することなどデメリットもあります。

希望のある方には法人成りシミュレーションを行っています。(希望が無くてもある程度以上の事業規模の場合、シミュレーション結果を報告しています。)

個人事業と法人の違い(税制編)

税率の違い

個人の場合は累進課税により計算されます。

最高税率45%ですが、住民税を含めると55%、事業税を含めると60%になります。

法人の場合は課税所得800万円までが25%弱です。(800万円超だと33~34%程度になります。)

そのため、個人所得によりメリット・デメリットが変わってきます。

ただし、法人の場合、所得がなくても均等割という税金が必ずかかります。(札幌市の場合は年/7万円)

※本記事記載時期の税率によります。

青色申告控除と給与所得控除の違い

個人の控除といえば青色申告控除の65万円が有名です。

法人の場合控除はありませんが、個人所得が役員報酬(給与)の名目になることで給与所得控除が受けることが可能です。

給与所得控除は給与の額により55万円~195万円と幅がありますが、青色申告控除よりもメリットが大きいケースが殆どです。

代表者への旅費日当、社宅、生命保険などの経費の計上

代表者への旅費日当、社宅、生命保険などは個人事業では経費では認められないものですが、法人の場合は経費(損金)になります。

ただし、経費計上するには条件があるので、適切な制度設計も重要な要素となります。

消費税の違い

法人化後は基本的に最長2年間の免税期間(一定の場合には最長1年7か月)が取れます。

ただし、令和5年10月1日よりインボイス制度が開始予定で、インボイス登録すると課税事業になってしまいます。(それでも一定の場合には最長2期で2割特例が使えます)

インボイス制度施行後はメリットがかなり薄れるでしょう。

個人事業と法人の違い(社会保険編)

社保の加入

法人にすると社保に強制加入になります。

個人事業の場合は、代表者は社保の加入はできないため、代表者の分はそっくりそのまま負担増になります。

従業員の場合は、5名以上の従業員がいれば社保の加入が必須ですが、現状4名以下で社保の加入が無い場合は従業員全員が強制加入となります。

社保の控除率はおよそ30%程度で、15%ずつ労使折半となり、この負担が法人化の大きな障壁になります。

もちろん将来もらえる年金も増えますが、短期的な資金としては流出が大きくなります。

最近の情勢として、特に建設業関係では元請から社保加入を促されるケースも多くあるようです。

労災、雇用保険

労災、雇用保険は個人事業時代と変更はありません。法人化すると各種新規取得手続きが必要です。

個人事業と法人の違い(その他編)

法人としての社会的信用力

対外的には社会的信用度が増すとされています。

登記によって会社情報は担保されますし、代表者の住所も登記事項の一つです。

元請から法人化の要請を受ける個人事業者も増えています。

採用のしやすさ

これも社会的信用力と類似しますが、採用にあたってもメリットになるケースが多いです。

やはり個人事業よりも会社の方が、なんとなく採用される側も安心感があるようです。

法人成りシミュレーション

弊所の場合は、個人事業時代と比べ、どの税金がどれくらい変動するのか、社保がどれくらいかかるのかをシミュレーションしています。

シミュレーションするとやはり社会保険の負担増が際立ちますので、社保の負担をどう考えるのかがポイントになると思います。

法人設立のサポートも行っていますので、お気軽にご相談ください。

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 この記事の投稿者

吉田匡

1980年(昭和55年)生まれ、新陽税理士事務所、代表税理士。
2012年(平成24年)に開業、ホームページ・ブログを見てご依頼頂くことがほとんどです。
経営者・個人事業主・創業準備中の方向けに、税金や経営に関すること(たまにプライベートも)を発信しています。
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