これから創業される方へのメッセージ

 

 創業支援

こんにちは。札幌の税理士よっしーこと吉田です。

私の経営する新陽税理士事務所では創業からお付き合いさせて頂いている方も多いです。

会社設立、創業融資から始まって初年度決算まで、特に創業初年度はかなり速いスピードで過ぎ去っていきます。

そして、創業時ならではの苦労。特に「お金」の苦労が多いです。

私も2012年に独立し、いわゆる創業の苦労を味わった一人です。

一応先輩経営者の1人として、私の創業よもやま話を書きたいと思います。

創業時全然集客できなかった

2012年に独立し、当時31歳でした。開業当時は関与先2件、年間売上40万円からのスタートでした。もちろん社員は私1人です。

まず考えるのがやはり売り上げの確保。粗利率100%に近い税理士業とはいえ、事務所賃料や税務会計ソフトの費用、その他もろもろの固定費がかかるので、サラリーマン並みに収入を確保すると考えると、年商1,000万円近くは売り上げがないといけません。

手始めに行動したことといえば、

・数少ない人脈をたどり人と会う

 → 多少紹介はいただけたものの、全然売り上げが伸びず。

・交流会に参加して人脈を広げよう

 → 交流会が苦手で、2回くらい参加していかなくなった・・・。

・ホームページを作って集客を狙う

 → 独りよがりのホームページで、半年間で3件の問い合わせで1件の成約のみ・・・。

こんな感じでした。

「これはヤバいぞ・・・」と感じながら、既に開業から9か月も経ってしまいました。

資金の底と運命の出会い

ちょうどこの頃、通帳の残高も寂しいことになっていました。

お金の計算だけは得意なので計算してみたら、このままでいったら年内いっぱいで廃業という結論に。

実際開業から11か月経過した時点の最低預金残高は14,354円でした。今なら笑えるけど当時は全く笑えませんでした。

少し時は遡りますが、開業年の10月に運命的な出会いをします。

横須賀てるひささんという士業向けのマーケティングを行っている天才塾という塾に入ります。

基本通信教材なのですが、士業がどのうようにして仕事を取るのか、そういったことを事細かく教えていただきました。

塾で成功されている士業の先生方の事例が紹介されている通信教材も何度も読み返しました。何度も、何度も。

勉強したことを活かして、主にホームページを直しました。そして12月4日に新生ホームページを公開、問い合わせが爆発的に増えました。状況が180度変わってきたんです。

おかげさまで今でもウチの新規のお客様の約7割はホームページからです。

創業者へのメッセージ

新陽税理士事務所の創業秘話はこれくらいにしておきます。

創業期に一番必要なものは、間違いなく売上です。売上が無くてはなにもできないどころか、廃業もやむなしです。

私もできればこんな経験をして欲しくないので、上から目線かも知れませんが、先輩経営者からいくつかお伝えさせていただきますね。

独立前に座学で勉強したことは意味がないかも

私は独立前にはビジネス書を読むのが好きで(というか、独立のために読んでいた)、年間200冊とか読んでいました。

いざ独立して実戦してみると、全然役に立ちませんでした。どんなに振る舞いを見直してみても、どんなにマーケティングを駆使しようと、1件の顧問契約を獲得するのが途方もなく遠く感じました。

今思えば独立前に学んだことは全く意味がなかったとまでは言えませんが、座学の勉強は歯が立ちませんでした。

座学よりも独立してからの実戦経験の方が百倍役に立ったと思います。

生活費をきちんと持っていること

みなさん開業前には開業資金をためています。それとは別に必要なのは生活費です。

私は個人事業にも関わらず、初年度300万円くらいの赤字をしましたので、当然家に入れる生活費も少なかったです。

事業がすぐに軌道に乗ればいいのですが、そうじゃないと極貧生活が続きます。

極貧生活だけならまだいいけど、マイナスになると廃業です。売上、経費だけじゃなく、生活費のショートが一番の問題です。

奇跡を信じない

「真面目にやっていればいいことあるよ」「そのうちお客様の紹介で増えていくよ」と言っている人もいます。

でも実際、真面目にやっても売上は増えません。

お客さんも自然に紹介なんてしてくれません。

そんな奇跡は起こりません!あり得ません!というのが身にしみました。

売上を増やす方法はただ一つです。行動あるのみ!

理不尽や不可抗力を受け入れよう

私は占いとかスピリチュアル的なことは信じていない方ですが、運は必要だと思います。

「契約までいい感じに進んできたけど、土壇場でキャンセルになった。」

「お客さんの質が悪かった」

なんてのはザラにありました。

独立当初は基本的に売り上げが無いです。売上が欲しいです。

今はそういう方はいませんが、質が悪そうなお客様とも契約していました。値切りされたり、申告後全然入金してもらえなかったり、というのもありました。

これらは私の判断が甘かった結果だとは思いますが、人生には不可抗力というものがあります。

商売なんて不可抗力の連続です。理不尽なことがたくさんあります。

商売は「ギャンブル」とまでは思っていませんが、自分がどんなに頑張っていたとしても、急に売り上げがなくなるときもあります。

でもそれはしょうがないです。商売なんですから。

お金がなくなる怖さ

またお金の話ですみません。

うまくいかなくなると請求書が怖くなってきます。。経費の支払いが怖くなってきます。

一番は現金が減っていく怖さ、特に残高が減り続けている通帳を見ると、もう通帳を見たくなくなります。

税理士が、「業績が低迷しているときは、原因究明するためにきちんと業績と向き合った方がいい」とよく言います。

でも私から言わせるとそんなのきれいごとです。見れるわけないじゃないですか。(あっ、でもどれくらいもつか計算するのは大事)

お金が減る本当の怖さは減った人間にしかわかりません。私の好きな「カイジ」ではありませんが、お金が減ると胸が苦しく焼かれそうになります。

最後に

私たち税理士は創業者に対して何ができるんだろうと考えたところ、結局何もできません。

数字をきちんと整理して赤字の決算書を出すと2年度目以降で繰越欠損が使えるくらいはメリットがあるのかも知れません。

もしできるとしたら、社長と対話することかなと思います。

会社の状況が苦しい、そういったことを話せるのは、やはり会社の状況を知っている税理士だけなのかなと思います。

きちんと業績を把握する、決算書を期限内に提出して納税する、といったことは言わずもがなですが、何か税理士と話すことによってヒントを得たり、気が楽になったり、明日への活力になってくれたら嬉しいです。

最後に、税理士や先輩経営者に頼るのもアリかも知れませんが、最終的には自分自身の力で打開しなくてはいけないです。

必ず成功するやり方なんてありません。やはり行動あるのみ、だと私は思います。

創業者の皆さん、頑張ってください。

やる気があって、一生懸命に商売をされる方、私は大好きです。

 

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 この記事の投稿者

吉田匡

1980年(昭和55年)生まれ、新陽税理士事務所、代表税理士。
2012年(平成24年)に開業、ホームページ・ブログを見てご依頼頂くことがほとんどです。
経営者・個人事業主・創業準備中の方向けに、税金や経営に関すること(たまにプライベートも)を発信しています。
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