社長とスタッフさんの立場を明確に。スタッフさんに経営者意識を持ってもらうためには?

こんにちは、税理士のヨッシーです。

スタッフさんに対して、「もっと経営者意識を持ってくれたら・・」と考える社長は少なくないと感じます。

なぜスタッフさんは経営者が欠けていると感じているのか、分析してみたいと思います。

社長とスタッフさんとの違い

経営者意識を紐解くには、「社長」と「スタッフさん」との違いを明確にする必要があります。

決定的なのは、その役割、立場の違いがあります。

社長の立場・役割

・経営の最高責任者で、常に会社全体のことを考える。

・中小企業の場合、「社長=出資者・大株主」であることがほとんどで、言い換えれば「会社=社長」である。

・会社の売上・経費など損益数値を正確に把握できる。

・会社の通帳等を管理し、資金繰りについて正確に把握できる。

スタッフさんの立場・役割

・業務(経営ではない)の一部分(営業・業務・総務経理)などを担い、担った部分の成果を上げる。

・会社の損益や資金繰りなど、開示されていない場合、正確に把握できない。

・財務諸表を開示しても見る力がない。(又は見る力があっても現実離れしている)

・会社に対して貢献する意識が人それぞれバラバラ。「会社=スタッフさん」ではないため。

社長とスタッフさんとの決定的な違い

社長というのは、会社と運命共同体。

つまり、会社に何かあれば社長が責任を負い、「社長が倒れれば会社も倒れる」と言っても過言ではないと思います。

例えば、コロナ禍で売り上げが激減したとしても、

・役員報酬を我慢しお金を作る。

・社長個人の財産をなげうっても、スタッフさんへの給与は維持する。

・借金の返済ができるよう資金調達に躍起になる。

これは、社長でないとできないことであり、このような行動をすることが経営者の務めだと思います。

ここに社長とスタッフさんとの決定的な違いがあります。

一言で言うと「当事者意識」があるかないかです。

当事者意識とは?

社長の意識

例えば、支払いするにあたり100万円足りなかったら、実際に100万円資金調達したり社長個人財産から会社に入れます。

まず「100万円足りない」という事実に対して、

・胸が張り裂けるくらい不安になる

・「また借金が増えていく・・・」という焦りを感じる

このように社長は感じます。(中には感じない人もいますが、私は感じます。)

スタッフさんの意識

スタッフさんが、「今月の支払いに100万円足りない」と聞かされても、

・えっ・・・(思考停止)

・この会社大丈夫か・・?(社長とは違う焦り)

・どうしたら良いのかわからない・・(解決方法が見当たらない)

となりそうな気がします。

当事者意識とは?

こういうやり取りをもって「経営者意識が足りない」というのは、社長のエゴだと感じます。

スタッフさんからすると「えっ・・?」と思うのが当たり前なのではないでしょうか。

まして、財務諸表をスタッフさんに開示していたとしても、現実味が湧かないのではないか。

100万円足りないというのは、財務諸表上は数字の羅列であり、100万円足りないことの、

「不安や焦り」

というのは財務諸表には書いてません。

私もなるべく社長の気持ちや感情に寄り添って財務諸表を見ていますが、それでも当事者ではないので、社長と100%同じ気持ちになることはできません。

この、「不安」「焦り」こそ経営者意識の根幹ではないかと思っています。なので、

「経営者意識=当事者意識=不安・焦り」

という図式が成り立つのではないかと思います。

つまり、

「スタッフさんに経営者意識が足りない」というのは土台無理な注文なんだと感じます。

それでもスタッフさんに経営者意識を持ってもらうには

何をして欲しいか明確にする

そもそも社長とスタッフさんの立場や意識が違うので、スタッフさんに能動的に「会社全体のことを考える」ことを要求するのは無理な話です。

そこで、具体的に何をして欲しいか、社内の問題点をスタッフさんお話し、どのように解決したら良いか意見交換するのが良いと思います。

それも漠然とした聞き方ではなく、「具体的に」というのがミソです。

ただ漠然として、「売上が足りないから100万円売り上げを作って欲しい」といっても、なかなか人は動きません。

・特定の取引先の利益率が低く、そのデータを示して原因を究明する。

・売上を漠然と増やすのではなく、「この客層の売上を増やすにはどうしたらよいか?」と具体的に聞く

・特定の売上先の集金サイトを短くするのにはどうしたら良いか?

などなど。

質問が細かければ細かいほど、考える方としては楽です。

社長は24時間365日、会社のことを考えています。私も24時間ではないですが、毎日会社のことを考えています。

経営者にとっては当たり前のことでもスタッフさんは違います。

「考える」課題を共有して、常に会社のことを考えてもらうよう仕組み作りされると良いと思います。

社長や経営幹部の仕事は課題を細分化すること

今の業績を作っているのは、1つの取引の積み重ねです。

1件1件の売上の積み重ね、仕入活動の積み重ね、経費支払いの積み重ねで今の業績があります。

業績を向上させるには、本当は1件1件ごとに細分化して検討するべきなんだと思います。

ある程度大きい会社なら、例えば売り上げを100万円増やしたいと経営幹部や部署の責任者に指示しても良いですが、中小企業は違います。

中小企業の社長は財務諸表で大きな数字を捉えて、帳簿から細かい問題点を探ることが必要です。

また、細かい問題点になればなるほど、現場の人間(スタッフさん)の方がわかっていることも多いのです。

理念を共有する

もう一つ、「理念」を共有するということも大事だと思います。

会社のこれから向かっていく先をスタッフさんに示すことがとても重要です。

目的地のない旅ほど辛いものはありません。

目的地が明確なほど、その目的地にたどり着きたいと考えるスタッフさんが増えます。

社長の考えと同じ人が増えたら、会社としてこれほど心強いことはありません。

私は常々「無理のない経営をし、最小限の努力で最大限の成果を出したい」という趣旨のことを弊所スタッフに言っているので、みんなもその目標に向かって自然に考えてくれてます。

 

まとめ

・経営者意識は当事者意識。

・経営者経験があるスタッフさんがいたとしても、100%社長の意識と同じにはならない。

・問題を細分化することで、スタッフさんに経営課題を考えてもらうよう習慣化する。

・理念を共有し、社長に同調するスタッフさんを増やす。

これができれば、かなり強い組織になるのではないかと思います。

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 この記事の投稿者

吉田匡

1980年(昭和55年)生まれ、新陽税理士事務所、代表税理士。
2012年(平成24年)に開業、ホームページ・ブログを見てご依頼頂くことがほとんどです。
経営者・個人事業主・創業準備中の方向けに、税金や経営に関すること(たまにプライベートも)を発信しています。
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