コロナ時代、中小企業省エネ経営のススメ
こんにちは、税理士のヨッシーです。
令和のコロナ騒動も大分落ち着いたというか、良いことも悪いことも表面化してきたと感じます。
弊所(税理士事務所)のお客様でも、直撃を受けている飲食・観光・イベント系、売上が戻ってきたという方、時間差で影響が出てきた方、と大きく3つに分かれています。
そんな中で目にした記事。
【客少ないのに?西松屋なぜ拡大】https://t.co/BWBYgT0Gu8
コロナ禍でアパレル業界が不振に陥り、店舗を持つ小売業が苦戦している一方、西松屋は業績を拡大させている。なぜか。
— Yahoo!ニュース (@YahooNewsTopics) August 24, 2020
※ヤフーニュースより
記事を要約すると、第一印象で以下のことが考えられました。
・二等立地に店舗を構えている(集客力が低い)
・ベビーカー3台通れるくらい広い(陳列面積が少ない)
・店内がいつもガラガラに見える(売上が低い)
・過剰な接客をしない(アップセルなどの顧客単価アップが望めない)
・子供の数が減っている(市場規模が小さい)
・服は低価格維持のためシンプル、凝ったものは作らない(他競合店の差別化がない)
ぱっと見悪い側面ばかりです。ですが、「業績」となると、このコロナ禍で数値予測を情報修正しているほどです。
会社としての理念の柱がある
お客様に「こんなものを提供したい」「こんな風になって欲しい」という会社の理念(想い)があるというのが、素晴らしいと思った。
(3): 全ては「低価格で魅力的な商品開発のために」
同社のこうした努力は何のためにしているのか。それは、魅力的な商品開発のためと断言してもいいでしょう。 以前、ある雑誌のインタビューで大村氏はこう発言していました。 「毎日の子育てが楽しくなるような、『豊かなくらし』を実現したい。そのために私たちは、お客さまに満足していただける品質の商品をどこよりも低価格で、最も便利に提供していきたいと常に考えています」
※ヤフーニュースより
理念はそれぞれなので、西松屋には西松屋の理念があるし、それぞれ違ってよいものです。
理念は会社の存在意義。
人に例えると、「自分はこういう人間でありたい」とか、「自分は将来こうしたい、こうなりたい」というもの。
人生における目標があって、明確化して、それに向けて進んでいるような人は、傍から見ても一本筋が通っているように見えます。
一見業績に関係ないように見えるのですが、この理念が無ければ、この業績になっていないのではないかと感じました。
理念通りに戦略や業務オペレーションを改善する
あとは理念に沿って、戦略を考えたり業務オペレーションを組むだけ。
経営のやり方を細かくみていっても、西松屋の理念が随所に感じられます。
・購買意欲を煽る売り方ではなく、いつ来ても低価格で良い商品があるように
・あえて混雑しない売り場・立地で、管理のしやすさ、お客様にストレスなく買い物できるように
・シンプルにこだわり、低価格、飽きがない商品づくり
・売上高にこだわらず、運営のしやすさを重視
理念を貫いた上で、お客様満足度を高められるか(市場に受け入れてもらえるかどうか)がポイントだと思います。
成功モデルを作り上げるまで様々な苦労があったのだと思いますが、今では結果的に業績に好影響ですので、顧客からの評価は得られたのだと思います。
私も西松屋さんにはかなりお世話になってます!
省エネ経営のススメ
記事を読んでいると、西松屋さんはかなり省エネ経営なのだなと感じました。
・店舗がガラガラでパート・アルバイトでも対応可能、お客さんがあまりいないので忙しくない
・均一レイアウトにより映像で本社在庫一括管理できる、正社員の店長は複数店舗兼務可能
・二等立地による賃料が低い
・省エネした分、低価格で良質な商品開発にお金をかけることが可能
これは、大企業だからできることもあるかも知れませんが、中小企業にも応用可能だと感じました。
まず、「省エネ経営をする」という思考を持つこと。
企業が存続するためには、売上を上げることは必須です。
ですが、どのくらいの売り上げが必要か?という視点では、「固定費」という概念を忘れてはいけません。
人件費、家賃をはじめとする固定費をいくらに設定するか、で最低限必要な売上額が決まるからです。
これを「損益分岐点売上高」と言います。
固定費を粗利率(変動費率)で割り返すと必要な損益分岐点売上高が算出されます。
例えば、人件費・家賃をはじめとする固定費が50万円で、粗利率50%とすると、損益分岐点売上高は100万円(50万円÷50%)です。
これを損益計算書で表すと
売上高 |
100万円 |
仕入高 | △50万円 |
固定費 | △50万円 |
利益 | 0万円 |
ちょうど利益が0円(トントン)になる売上高が100万円です。
売上高をいかに上げること、仕入高をいかに下げること、これと同じくらい「固定費をいかに少なく経営すること」は経営にとってかなり重要です。
今ある固定費を削減するというやり方は私はあまり好きではありません。(今契約などで決まっているものを無理に下げるお願いをすることはどうかと思ってしまいます。)
ですので、経営のやり方、店舗運営のやり方自体を変えていかなくてはいけないと思っています。
で、何度も言いますが、そのための理念です。
理念に反したことを行っていては、お客さんがついてこれません。
理念はそのままお客さんの属性に繋がり、集客するコトバになり得るのです。
常に嘘を言っている会社には、結局お客様は離れて行ってしまいますし、嘘はいずれバレます。バレないにしてもお客様としては違和感を感じるでしょう。
まとめ
経営と理念が一致するように、そしてお客さんに伝わるようにやり方を考えていく。
省エネ経営を常に心がける。特に人件費、賃料など大きな固定費を変えるのは、根本的に経営を変えていく必要がある。
コメント
この記事の投稿者
吉田匡
2012年(平成24年)に開業、ホームページ・ブログを見てご依頼頂くことがほとんどです。
経営者・個人事業主・創業準備中の方向けに、税金や経営に関すること(たまにプライベートも)を発信しています。