資本金をいくらにするか?【会社設立】

 

 会社設立・創業融資

こんにちは、税理士の吉田です。

会社設立をするときに気を付けるべき点は多いですが、中でも資本金の金額は特に重要な決め事になります。

資本金の金額を決める手順

自己資金の中の資本金にできる限度額を考える

資本金は個人財産を会社の資本に入れる行為です。

資本に入れるということは、個人のお金から会社のお金になるということです。

言い換えれば、「会社のためだけに使えるお金」ということであり、個人のためには一切使えません。

唯一個人のために支払いできるものとして、役員報酬・役員賞与がありますが、それ以外で個人のために使うことができないと考えると良いでしょう。

※厳密には個人に貸付することもできますが、あまりよろしくない行為です。

まずは、個人の自己資金の内、どれだけ会社に投入できるか考える必要があります。

個人の生活に支障がでないように、ある程度自由に個人で使えるお金は取っておきたいところです。

会社の運転資金、設備資金、赤字資金を考える

会社経営には「運転資金」がないと回せません。

例えば、売上が入ってくるのは1か月後、給与などの経費支払うのは当月とすると、1か月分の経費に相当する運転資金は必要です。

運転資金を賄うのも資本金ということになります。

他に固定資産(車や備品など)を購入する場合も、購入するお金がないといけません。これも資本金で充当していく必要があります。

また、赤字資金もそうです。

創業数か月赤字が見込まれる場合は、その赤字分の資金がないと会社は回せません。これも資本金で充当していきます。

消費税の有利選択により決める

設立当初の資本金額が1,000万円以上であれば、1期目から消費税の課税事業者になりますので、消費税の納税が必要になります。

そこで、資本金額を1,000万円未満にすることで、最大2年間は消費税の免税期間を取れる可能性が出てきます。

ただし、インボイス登録する場合は、1期目からいきなり課税事業者になりますが、それでも資本金1,000万円未満にすることで、「2割特例」が使えるメリットもあります。

※2割特例を適用できる期間は、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間となります。

※2割特例は、消費税の計算方法を課税売上の消費税の2割を納税するお得な方法です。

中小企業が資本金を決める上で考えるべきこと

第一順位は消費税の節税

設立当初はこれから売り上げを上げていく大事な時期であり、余計な税金は払いたくないということは誰しも考えることです。

現状では「2割特例」が使える権利があるので、資本金額を1,000万円未満にする法人がかなり多いです。

役員(社長)借入金の活用

会社に入れるお金を全て資本金とせず、一部役員(社長)借入金にする方法があります。

役員借入金は、「法人がお金を役員から借りる」という意味です。

役員借入金にしておくと、いつでも無税で会社から役員にお金の移動ができます。

お金の貸し借りには収入も経費も計上されず、貸付にもなりません。

「個人の方にも残しておきたいし、でも会社の運転資金も足りないし・・」といった場合は、この折衷案がお勧めです。

対外的に考える

資本金の金額は謄本に記載されます。

謄本は誰でも取れる(見れる)ので、調べようと思ったら誰でもあなたの会社の資本金が見れる、ということにもなります。

今は資本金1円から会社が作れますが、資本金1円だと取引するのをためらうことも考えられます。

これに関しては資本金が多ければ多いほど信頼性は高まります。

取引先が長年付き合いのある先の場合などは信頼関係があるので、あまり考えなくても良いかも知れません。

また、小売業や飲食業などのBtoC事業も、顧客が謄本を取ることは少ないと思いますし、特に問題ないと思います。

やはりBtoB事業をされており、取引先がある程度大きな会社の場合は、取引前に謄本くらいはチェックされると考えた方が良いでしょう。

まとめ

様々なメリット、デメリットを考えて、大きすぎず・少なすぎずバランスをとった形で決めるのが重要です。

ちょっと難しい問題になるのでもし不安があれば、顧問税理士に相談されると適正な金額を提案してくれると思います。

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 この記事の投稿者

吉田匡

1980年(昭和55年)生まれ、新陽税理士事務所、代表税理士。
2012年(平成24年)に開業、ホームページ・ブログを見てご依頼頂くことがほとんどです。
経営者・個人事業主・創業準備中の方向けに、税金や経営に関すること(たまにプライベートも)を発信しています。
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