税務調査で同じ過ちをしないためにすべきこと

こんにちは。税理士の吉田です。

現在、秋の税務調査立ち会い対応の新規募集を行っています。

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弊所で税務調査立ち会いを行った後に「税務顧問もお願いしたい」と仰っていただける方も一定数います。(もちろん、税務調査後の顧問契約は強制してはおりません。)

やはり税理士に相談に来られるくらいの事情があるので、帳簿の作成や書類の保存・管理がきちんとされていないケースがかなり多く見受けられます。

税務調査に入られたおかげで「これからきちんと帳簿付けするきっかけになって逆に良かった」と感じている方もいます。

過去の過ちを認めてこれから正しく申告していく姿勢は素晴らしいものですし、私もそうなって頂きたいという思いで税務調査対応サービスを行っています。

過去の過ちをどのように直していけばいいか、について記載したいと思います。

領収書・請求書等の整理整頓

まず、適正申告の流れとしてはこのような流れになります。

①領収書の整理整頓

②会計ソフトへの入力・読み込み

③会計データのチェックを行い毎月の試算表を作成

④これを12か月繰り返して決算申告書を作成

⑤申告・納税

これを漏れなく滞りなく進めるためには、領収書・請求書の保存・管理が一番重要になってきます。

領収書の整理整頓

まず、領収書をもらったら整理整頓を行います。あくまで次の工程である「会計ソフトへの入力処理」がやりやすいようにまとめておくと良いでしょう。

領収書は費目別(消耗品費や交際費など)でまとめている方も多いと思いますが、会計ソフトは「支払手段ごと」にまとめた方が処理しやすいのです。

大分類として、「現金で支払ったもの」「カード決済のもの」「ペイ払いのもの」「振込で支払ったもの」など分けていく必要があります。

また、ネットショップ等で購入したものは、ネットショップの購入履歴などから領収書を発行しておきます。その際、購入物の記載とインボイス登録番号の記載があるかどうか確認しておきましょう。(PDF等で月別にPC保管しても構いません。)

よく「カード決済なら利用明細書があるから領収書はいらない」と考えている方もいますが、それは間違いです。

領収書やレシートが無ければ取引の詳細(購入物等)もわからないため、経費の妥当性がわからないからです。

また、インボイス登録番号の記載があるのは、領収書やレシートの現物になります。クレジットカード利用明細書やクレジットカード決済端末から出るレシートにはインボイス登録番号の記載がありません。

領収書は日付ごとにまとめておくと後で確認がしやすいです。

支払い請求書の整理・整頓

請求書は大分類として原価のもの(仕入代金や外注費など)と経費のものに分けます。

主に引き落としのもの(電話代や光熱費など)も請求書等が届きますが、上記とは別にしておいても構いません。

そして、発生月(購入月・利用月)分として月ごとにまとめておきます。発生月に原価(経費)を計上するため支払い月でまとめると訳が分からなくなります。

この辺は取引内容によって変わってくるので税理士に対応を確認しましょう。

売上請求書、売上伝票の整理・整頓

売上請求書も月別にまとめておきましょう。これも発生月ごとにまとめます。

販売ソフトを使っている場合はデータで確認できるため、データを税理士に提供しても良いでしょう。

得意先別月別合計表などがあれば仕訳が起こしやすいですし、CSVや会計ソフトに連動するなどして仕訳作業を効率的に行うこともできます。

飲食業など日々の売上がある場合は日々のレジ締めの合計表の他、売上伝票の保管が必要です。

エアレジやスマレジなどクラウドのレジを使っている場合は、税理士と打ち合わせしてどのデータが必要か確認しましょう。(クラウドレジだとCSVや会計連動に適しています。)

領収書・請求書の保管

領収書・請求書を会計処理した後は、保管作業になります。

紙媒体で保管する

領収書はスクラップブックやノートに日付の古い順に下から貼るのがオーソドックスな方法です。

ただ、「領収書を貼りつけなければいけない」という規定はありません。

実際の税務調査の現場でも、とりあえず領収書をクリップ留めしたり、封筒にがさっと入れた状態でも特に言われたことはありません。(調査官が大変なのでしょうが・・)

一人社長やあまり規模が大きくない会社・個人事業者は、税理士に見せたらもう使う機会がないという方も多いため、貼らないで保管しておいても問題ないと考えます。

特に弊所で記帳代行するときには、貼らないでお預かりした方が確認・処理が楽なので助かります。

請求書は月ごとか取引先にまとめると良いでしょう。

電子データで保管する

2024年の電子帳簿保存法の改正に伴い、電子データで届いた請求書等をそのまま電子データで保管する必要があります。たとえば、PDFで請求書がメール添付されて送られてきた場合は、そのPDFのデータを保管することになります。

一定の小規模事業者の場合は、紙に出力したものの保存もOKですが、その場合には税務調査などで要請があれば元データを提出する必要があります。

また、ネットショップで購入したものの領収書も購入履歴等でPDF提供されることが多いです。

ちょっと面倒ですが、クレジットカード利用明細書を見て領収書があるかどうかのチェックが必要ですね。

スキャナ保存

紙媒体の領収書や請求書をスキャンし電子データで保存する方法です。

これを採用すると紙を捨てることができるので、保管場所も確保しなくても良くなります。

ただし、タイムスタンプを付与したり、訂正・削除履歴の保存、受領後速やかに保存するなど、要件がいくつもあります。

上記のようにハードルも非常に高く、コストをかけて専用システムを導入する必要が出てきます。

中小企業の場合は、前時代的化も知れませんが紙媒体の保存で十分なような気がします。

販売管理ソフト

請求書や代金受領領収書の作成を販売管理ソフトで行っている場合は、データを消失しないようバックアップをしっかりと取っておきましょう。

念のため、請求書データを電子データ保管しても良いと思います。

エアレジ等のクラウドソフトの売上データは保存期間に注意しましょう。(現状ではエアレジは10年)

保存期間が過ぎると確認できなくなるので、CSVファイルなどを出力し保管しておくと良いでしょう。

保管期間

法人の場合は会社法で10年保管が義務付けられています。

個人は税務調査を想定して7年保管してあれば問題ないと考えます。

ただし、固定資産台帳に載っているもの、一時払い長期契約の保険証券などは、償却が終わるタイミングで7年・10年保管した方が良いでしょう。

会計ソフトのへの入力・試算表作成・決算申告

書類さえしっかりあれば、あとは会計ソフトで処理して試算表作成、決算申告書を作成すればOKです。

さすがにここは専門の知識がないと難しいので、税理士に依頼する方が良いでしょう。

税理士に依頼する場合、会計ソフトの入力を自社で行うか、税理士に行ってもらうかの二通りあります。

どちらにしても税理士の指導は受けれますので、税理士に相談して決めてもらえればと思います。

小規模個人事業者の場合はご自身で作成されている方も多いです。

まとめ

まずは書類を漏れなく保管すること、保管するルールを決めることが重要です。

正直書類さえあれば申告はなんとかなりますし、税務調査で資料ありなしに関して揉めることもないでしょう。

弊所ではお客様に会計入力して頂く際には、なるべく効率化できるよう会計ソフトの設定や日々の書類保管の指導を行っています。(別途会計ソフト代金がかかります。)

また、「自分では会計ソフトの処理はできない」という方向けに、記帳代行も受け付けています。(別途記帳代行料がかかります。)

細かくご要望をお聞きして、御社にとって最適な方法をご提案できるようにいたします。

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 この記事の投稿者

吉田匡

1980年(昭和55年)生まれ、新陽税理士事務所、代表税理士。
2012年(平成24年)に開業、ホームページ・ブログを見てご依頼頂くことがほとんどです。
経営者・個人事業主・創業準備中の方向けに、税金や経営に関すること(たまにプライベートも)を発信しています。
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